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ナースマガジン褥瘡ケアセミナー レポート

投稿日:2016.06.11

「これからの褥瘡管理のあり方について考える」

~2025年問題に向けて広がる看護師の可能性~ in 大阪
周知のとおり2025年問題を遠くない将来迎える我が国において、地域特性を踏まえた地域完結型医療の構築が求められています。
病院機能の分化、介護・福祉との連携、生活支援など、総合的な体制づくりが進められていく中で、特定医療行為に係る看護師の誕生からもわかるように、看護師の活躍領域拡大の可能性が広がっています。

そのような背景の下、季刊「ナースマガジン」発行元である私共メディバンクス株式会社では、患者・家族のQOLに大きな影響を与える「褥瘡管理」のあり方に焦点を絞り、大阪・東京・福岡の3会場でのセミナー開催を企画いたしました。
今回は、大阪会場の様子を一部ご紹介いたします。     (ナースマガジン編集部)

大阪会場

日時:2016年5月14日(土)
会場:ツイン21 MIDタワー  

プログラム
①褥瘡患者の栄養マネージメント
~コラーゲンペプチドの機能性に着目した褥瘡管理~
講師: 水野 英彰 先生
(医療法人社団悦伝会目白第二病院 外科・消化器科)

②これからの看護師に求められる資質と役割
~特定行為研修により広がる看護師の可能性~
講師: 溝上 祐子 先生
(公益社団法人日本看護協会  認定看護師教育課程)

③創傷管理における難渋症例のマネジメント

講師: 松岡 美木 先生
(埼玉医科大学病院 皮膚・排泄ケア認定看護師)

④下痢便・軟便患者のスキントラブル対策

講師: 小林 直美 先生
(パナソニック健康保険組合 松下記念病院 皮膚・排泄ケア認定看護師)

自施設症例からみたコラーゲンペプチドの働き

褥瘡の発生要因から予防法をたどっていくと、体圧分散、スキンケア同様、適切な栄養管理の重要性に至ります。
急性期病院に勤務しつつ周辺の介護老人施設入所者の慢性期医療、特に栄養管理に深く関わっている水野先生は、高齢者の身体特性から褥瘡発生リスクについて触れ、褥瘡発生予防および褥瘡治癒に必要な栄養素の働きについて、参加者と会話をしながらわかりやすく解説。
「高齢者の栄養管理は量より質」を展開し、近年話題になっているコラーゲンペプチドについては、コラーゲンとの違い、創傷治癒にどのような働きをするのか、など自施設の症例を交えて治癒過程を紹介し、その臨床的効果を報告しました。

看護の視点を活かした特定行為

次に登壇されたのは、認定看護師を育成する立場の溝上先生。

医療機関の機能分化と連携、チーム医療の推進が提唱されるようになった、日本の「高齢・多死社会」の社会的背景、特定行為研修制度が誕生した意義を解説されました。
「創傷管理」の特定行為研修1期生の演習内容の中から、形成外科医の指導で局所麻酔・切開・縫合などの医療行為を豚足やネズミを使って行った実習風景や、研修内容を患者の創傷治癒に活かした看護師のレポートを紹介。
最後に「特定看護師は、医師の代わりではない。ケアに足場を置く新しいスタイルのナース〉」と呼びかけました。
看護師は、今までに培ってきたケアの視点や患者との信頼関係が基盤にあります。
だからこそ特定行為制度を活用できるポジションにあり、医師だけでは対応しきれない<生活の中の医療>という視点から患者のニーズに応えることができるということでしょう。

正しいアセスメントで慢性創傷を管理する

創傷管理で遭遇する難渋症例のマネジメントは、松岡先生がご担当。

創傷治癒過程の各段階の特徴やその原因、創傷が慢性化する要因、創傷と細菌の関係など、軽快な口調で進められました。
日本縟瘡学会発行の「褥瘡予防・治療ガイドライン(第4班)」に沿って、治療法やその選択の基準、高齢者の皮膚の構造、STARスキンテア分類システムなどについても解説。
原因を見極めることの重要性を強調されました。

そのケア方法は正しい? 常に見直しを

本セミナー最後のテーマは、褥瘡発生要因の一つとしても悩ましい、下痢便・軟便患者のスキントラブルとその対策。

便の状態や排泄状況のアセスメントを行い、トラブル発生要因を明らかにして予防対策およびトラブル発生時の対策を立てましょう、と小林先生。

下痢に伴う代表的なスキントラブルと対策、予防や対策で用いる物品の特徴、人工肛門用ケア用品の活用とその根拠など、すぐに活かせる情報が盛りだくさんの講演内容で、参加者も熱心にメモをとっていました。

最後に・・・

参加受付開始直後から応募が殺到し、キャンセル待ちも多数生じてしまいました。ご参加いただけなかった方々には、心からお詫び申し上げます。
これからも皆様からのご意見・ご要望をもとに、中身の濃いセミナーを企画・開催して参りたいと思います。

講師の先生方、ご参加いただいた皆様、お力添えいただいた企業の皆様、誠にありがとうございました。

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