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ナースマガジン vol.35

タブレットICTを導入した医療現場の未来

タブレット端末を使用したICT(Information and Communication Technologyの略。通信技術を使ったコミュニケーションのこと)、いわゆる情報通信技術の導入が近年注目されています。
施設ごとに使い方にも特色がありますが、この度タブレット端末を利用した遠隔PALCOMシステム(開発:アポロン株式会社)を導入された2つのクリニックをお訪ねし、3つの質問をしてみました。(編集部まとめ)
Q1:導入のきっかけと使ってみた感想 
Q2 :今後どのように活用していきたいか 
Q3 :病院での活用イメージ

御徒町仲内科クリニック 仲 眞美子 院長

A1:来院が難しい患者さんに活用できるシステム

 以前勤めていた東京都健康づくり推進センターでは、遠隔診療についての取り組みをしていたので、 クリニック開設時にはICTを活用したいと思っていました。 今回のシステム導入のきっかけは、 新型コロナウイルス感染症の影響で高齢の方が来られなくなったことや、 働き盛りの生活習慣病患者さんが忙しくて受診できないことが多くあったので、 診察や食事 ・ 運動指導、 定期的な処方などにこのタブレットが活用できるのではないかと考えたのです。
 タブレットは抵抗なく使え、 操作も自然に覚えていきました。 患者さんも画面をタッチするだけなので簡単です。対面での診察と遜色ないほど画像が鮮明に映るため、 皮膚科領域の診察に大いに役立つと思いました。 画面も大きく、皮膚の状態が細部まで見られるので、褥瘡治療時の確認にも優れていますね。

A2:食事や運動指導、「見える」 ことは最大のメリット

 食事や運動指導の時に活用していきたいです。例えば膝の曲げ伸ばしはどの程度できるのか、 今日の夕食は何をどれくらい食べるのかなど、 遠隔でも様子を見せていただきながらアドバイスができるようになります。
 また、 高齢独居の方への健康状態のチェックや、 新型コロナウイルス感染症に罹患された方 ・ 疑われる方のフォローにも活用していきたいですね。

 このシステムは、 患者さんがコールすると受付看護師が着信をとり詳しい話を聞きます。 画像を通して血圧手帳などを見せていただくこともできるので、スタッフ全体で一歩踏み入った情報を把握しやすく効率も上がり、 より良い医療を提供できるようになると思います。

A3:病診連携に力を発揮

 今後は、 病院や他のクリニックを登録し合うことで遠隔で話し合える場ができ、 お互い連携しやすくなるのではないかと思っています。 退院時、 紹介状のみで全てを把握するのは難しいですが、タブレットを通して話し合う場を設けることで、 患者状態や指導内容など、全体を把握しやすくなります。

 入院患者さんの場合も、 ドクターコール時に緊急性の有無や詳しい状態を画像を通して視覚的に確認できるので、様子観察で問題ないのか、 すぐにかけつけた方がいいのかを離れていても判断できる上、 その場で指示を出すこともできます。 スタッフ ・ 患者さんともに負担が減りますよね。

中央医院(大田区) 呉 光雄 院長

A1:現在いるスタッフ人数で稼働していくために

 当院は、 現在は閉鎖していますが入院病床があります。 新規雇用はせずに、現状のスタッフで今できることはないかと思ったことがシステム導入のきっかけです。 色々な企業のシステムを検討しましたが、 我々が掲げる様々な要望に沿ったシステムを一緒に作り上げていってくれるアポロン社の姿勢に感銘を受け、 この遠隔PALCOMシステムを導入することにしました。
 このタブレットを使用して、 「院外にベッドを持っている」 ような感覚で、 要介護高齢者の方を中心に活用できるのではないかと考えました。使い勝手がよく、70歳代の私でも操作しやすいです。 高齢者向けスマホが使えれば問題なく使えると思います。特に 「見守り機能」( スタッフ側が患者の状態を確認したいときに、患者側にはコール音を鳴らさずに様子を見られる機能)は他社にはなく、 とても便利な機能です。 患者さんを起こす心配なく状態を確認できます。

A2:多職種との連携で誰もが笑顔になるように

 現在訪問看護ステーションと連携をし、タブレットICTを使用している患者さん宅への訪問時に、 訪問看護師から当院へコールをしていただいています。 患者さんの状態やご家族の手技などを遠隔で見ながら訪問看護師の報告を受け、 医師がアドバイスや指示をすることができます。

患者さんとご家族の安心にもつながる上、 スタッフそれぞれにかかる時間や仕事量を削減できるので、 誰にとってもメリットになると思います。
 インターネット環境を高齢や独居の世帯にも整備出来たら、 さらに利用が進むのではないでしょうか。 今後は、 処方薬の配達や、 取り扱っている薬について近隣薬局と情報共有できるネットワークの構築も進めていきたいですね。

A3:入院病床再開時の活用に期待

 病院のナースコールは一般的に患者さんから看護師に対しての一方通行ですが、 このタブレットICTを使えば、スタッフから患者さんへコールすることもできます。 画面を見ながらの状態確認はもちろん、 連絡手段としても使えるので、 時間をより有効に使えるようになります。

 また新型コロナウイルス感染症病棟では、 患者さんの部屋に入るたびにPPE (個人防護具) を着用しないといけませんが、 タブレットICTを使うことで直接部屋に行かずに確認できる場合もあるので、 その分感染曝露のリスクも減り、PPEの節約にもつながります。
製品のお問い合わせは直接下記までE-mail 又は FAXにてご連絡ください。
問い合わせ先 〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町1-3-3 日本橋TKビル2F 
株式会社アポロン
電話/FAX 03-6231-1901 携帯番号 090-9173-3824(牧田) E-mail apollon@s-alliance.jp

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