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ナースマガジン vol.43

達人に訊く!新人ナースに向けた 安全な食事介助の臨床研修 ここがポイント!

投稿日:2023.05.08

新人ナースにとっても指導ナースにとっても、病棟デビューは緊張されることと思います。今回、安全な食事介助のための座学と実習を病棟デビュー前の臨床研 修に組み込んでいる、東京都立神経病院の研修内容について、摂食・嚥下障害看護認定看護師の村上未来看護師長にお話を伺いました。小児から高齢者まで、嚥下機能に問題のある方たちに応用が利くポイントを大公開!
食事介助の達人
村上 未来 先生
地方独立行政法人 東京都立病院機構
東京都立神経病院 看護部 看護師長
専門外来・共通診療科 
摂食・嚥下障害看護認定看護師
 病棟での対応に困ったときは、私や教育担当看護師が相談にのっています。研修で習ったことを振り返りながら、相談者自身に対応してもらうことで初めて講義と自分の体験と病棟での看護がつながるのだと思います。
 当院の研修はWebでも公開していて、地域の病院や訪問看護ステーションの看護師の方々も受講できます。出張セミナーやZOOMを活用したオンラインセミナーに興味のある方は、当院のホームページからお問い合わせ下さい。

村上先生のメッセージ動画は、こちらから

食事介助を学ぶ理由

 当院では、病棟に配属される前の新人向け臨床研修の中で、食事介助の演習を4時間組み込んでいます。90分の講義の後、実際の病室で食事介助をする場面を想定して演習しています。

 神経筋難病の専門病院のため、食事介助を必要とする嚥下障害患者も多く、食事援助はすべての病棟で必須の技術です。ベッド上の場面では基本姿勢と頚部後屈(進行性核上性麻痺の特徴)姿勢、車いすの場面では基本姿勢と円背姿勢で安全、安楽な食事介助の実習を行い、一つ一つの介助の根拠を説明しています。その後、患者役の人たちは患者の立場での感想を述べ、看護師役の人たちはそれに対してどういう工夫をしたか、という意見交換をします。誰もが安全な食事介助を提供でき、誤嚥窒息に対応できるための知識や技術を統一するという目標を掲げ、6年前からこの取り組みを始めています。

 4月に入ったばかりで新人同士の関係性もなかなか築けていない時期に、コミュニケーションが円滑に進むよう助言しながら、みんなで勉強しているような雰囲気を作ってはいますが、まず初めに”食事介助を学ぶ理由”については厳しく押さえなければいけない点だと考えています。
テーブルに肘が乗る方が楽であることを体験しています。
写真提供:村上未来先生
食事姿勢の中心が傾いていないかを確認する際、ベッドの足元から見るとわかりやすいと説明しています。

食事介助を学ぶ理由

▶介助した1口で誤嚥や窒息を起こすこともありうる
⇒患者さんの生命に直結する

▶食事は患者さんのQOLに大きくかかわる
⇒安楽、安全に食事ができる技術と知識、アセスメントに基づいた食事介助が求められる

研修における指導ポイント

 食事の際、患者さんが「これを食べたい」とおっしゃることもありますよね。それがちょっとチャレンジだなと思ったら、万が一誤嚥したら喀出するための介助が必要になるといった最初のアクションを意識して介助できるようになってほしいのです。準備や心構えによる迅速な対応は、リスク管理にもつながります。

参考 東京都立神経病院 臨床研修資料「基本看護技術研修 摂食嚥下障害看護(食事介助)」 2022年

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