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長岐 祐子先生の口腔ケアコラム第8回

第8回 口腔清掃と口腔環境

 「歯磨き」というと言葉のイメージから、ゴシゴシ歯を磨いてしまいがちです。実際に患者指導をしていると、力強くゴシゴシ歯磨きをしている方が多くいらっしゃいます。


 今の人はホウキで掃き掃除をする機会が少ないため、毛先の使い方を畳の目に合わせてホウキの毛先を使ってゴミをかき集めていくイメージから、毛先磨きをイメージして頂くことが難しくなってきていますが、歯磨きも掃き掃除と同じ力加減と毛先で掃除するものです。

 理由は、力を入れ圧をかけてゴシゴシ磨けば磨くほど、歯ブラシの毛先が曲がります。歯の汚れは力ではなく、歯ブラシの毛先に巻き込まれながら取れていきますので、弾力性のある毛先でシャカシャカ音がするように微振動で動かしていくことがポイントです。
 
しかし、ホウキを使った事がない若者が増えてきている時代背景とともに、現代人の食生活も大きく変化してきています。規則正しく、バランスの取れている食事をしていれば、歯ブラシをさっと水で濡らし、適量の歯磨き剤を使用しながら順序良く歯を磨いていくことで2~5分で7割の汚れは取れていきますが、糖質・油の多い食生活、偏食、口呼吸、寝不足など不規則な生活からくる生体メカニズムのバランスの崩れが、取れにくいベッタリブラーク(歯垢)を作ってしまいます。


 こうなると頑固な汚れですから、シャカシャカという毛先磨きの力では落とすことが出来ず、ゴシゴシと力強く擦りながら磨き落としていくことが必要になってきます。


 このようにベッタリ取りにくい汚れの場合は、歯磨きだけでなく、口の中全体の環境整備清掃が必要になります。「磨きにくくなっている歯はないか?」それは治療が必要な歯かもしれません。


 また「食事をしっかり噛めているか?」それは咀嚼機能が低下していて唾液の分泌が低下し、自浄作用が悪くなっているのかもしれません。

 口腔清掃をするという行為は、このように良く磨けない原因を見つけていくものでもあり、口腔内環境を整いえていくことが、口腔清掃の一環でもあります。


特に介助を必要とする患者さんの口腔内は、環境を整えることも難しい場合がありますので、磨けない理由、落ちない汚れ原因を介助者がいち早く把握することが、どのような磨き方をしていけば良いかのポイントにもなってきます。

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