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めぐみが行く! Vol.2

自分ががんになったら 子どもに伝える?

目まぐるしく変化する医療・社会の中で、看護の本質に触れるような、そんなコーナーにしたいと思っています。
休憩室で帰りの電車の中で是非「めぐみが行く」を広げてみてください。

今回の記事について村松恵から動画メッセージ

未成年の子どもがいる患者・家族への支援

国立がん研究センター中央病院では、未成年の子どもがいるがん患者や家族のために、多職種支援チーム、PC-Panda(Parents with cancer and Children Support-Professionals
and associates)が活動しています。緩和ケアチーム専従看護師の池長奈美先生とホスピタルプレイスタッフの小嶋リベカ先生が、PC-Pandaの支援についてお話ししてくださいました。(文中敬称略)

左:池長奈美 先生
緩和ケアチーム専従看護師。
患者さんやご家族の身体や心のつらさに対して、多職種と協力して支援に取り組んでいる。
右:小嶋リベカ 先生
ホスピタルプレイスタッフ(HPS)。公認心理師、臨床心理士。
米国・英国・日本での臨床を経て、未成年の子どもがいるがん患者・家族への支援を行っている。

タイミングを決めるのは患者

村松:
 PC-Pandaに寄せられる相談事からは、 心配や不安を抱えさせたくない、 申し訳ないなど、 子どもをとても大切に思う気持ち故の葛藤が読み取れますね。 病気のことを伝えるのか伝えないのか、 伝えるとすればどのタイミングで?と悩みはさまざまですが、 患者さんと日々接していく上でのポイントを教えてください。
池長:
 患者さんの気持ちや辛さは様々なので、ご自身のペースを大切にすることです。 話せない方、 行動で示す方、 それぞれの経験や生き方があります。 私の思いや考えはいったん置いて向き合っています。
小嶋:
 患者さんの小さな気がかりにも耳を傾けることです。 家族の気持ちも尊重し、 一 緒に 「言えること」 を見つけます。 医療者は肯定的な姿勢で接し、 安心感を与えることが大切です。
池長:
 大切なのは患者さん自身が言いたいと思う時に、 その人の言葉で伝えることです。 肯定的な言葉をかけながら、 想いを言葉にしていくお手伝いをしています。

見守ることもケアの一環

村松:
 PC-Pandaの具体的な活動を教えてください。
池長:
 まず、 リーフレットや院内掲示物を通じて情報提供を行います。 対象者の把握にはスクリーニングシートを使用したり、各病棟のカンファレンスで未成年の子どもがいる患者さんをピックアップしたりしています。 対象者には専門家との面談が必要かどうかを尋ね、 必要な場合には個別に面談を行っています。
小嶋:
 患者さんのカルテには子どもの有無を記録し、 スタッフ間で情報を共有しています。情報提供は大切ですが、 患者さんの様子を見極めた上で見守ることもケアのひとつだという認識を共有しています。
村松:
 お二人はどのように役割分担をされているのですか?
小嶋:
 心理的な悩みには心理師が、 日常生活に関する悩みには看護師が応えます。 「子どもが甘えやすくなったのは自分のせいかな」といった心理的な悩みには私が、 「お風呂に入っていいかな」 「抱っこできない時期はどれくらい続くだろう」 といった日常生活の悩みには、 看護師が対応しています。
池長:
 他にもPC-Pandaでは、 緩和医療科の医師、 精神科の医師、 心理師、 サポートセンターの看護師、 メディカルソーシャルワーカー(MSW)などがそれぞれの専門領域を活かした役割を担っており、 月1回のチームミーティングで、 より良いケアへの学びを深めています。

緩和ケアの関わりの中で大事にしていること

村松:
 日々の丁寧な接し方で信頼関係が築かれていてこそ、 患者さんも本当の気持ちを打ち明けてくださるのでしょうね。
池長:
 先日は 「今後弱っていく姿を見せたくない」 「元気なお母さんを覚えていてほしい」「動けるうちに楽しい思い出をつくりたいけれど、 無理に保育園を休ませたり出かけたりするのは、 その子にとってはよくないと思う」と泣きながら想いを吐露してくれました。
小嶋:
 患者さん本人も、 何か子どもにしたくてもできないという葛藤があります。 そのような時、”だいすきノート”をお渡しして、 お子さんに対する気持ちなどを書いてもらっています。
村松:
 心身ともに厳しい状況の患者さんを支えるこの活動の中で、何を大切にされていますか?
池長:
 ”笑い”その時ですね。 どんなに苦しくても、 一 日に 一 瞬でも笑えることがあるんじゃないでしょうか。 がんである患者さんという面だけではなく、 普段のその人となりを知る場面で少しでもクスっと笑ってくれたら、嬉しいなと思っています。
小嶋:
 「わかった気にならない自分でいるように」 という原点を大切にし、 聞いたことだけでなく全体を俯瞰して考えることです。 患者自身の思いや行動を否定せず、 その時点での”精一杯”を尊重していくことを大切にしています。
池長:
 解決できない苦しみを抱えている患者さんを前に、 自分も苦しいことがたくさんあります。 その苦しみを共有し、 共に考えてくれる仲間がいること、 何よりその一場面に自分が関わらせてもらっているのは、 なんて素敵なことだろう、と思っています。
親子の交流を深めるツールとして お渡しする だいすきノート

今回の取材先

国立がん研究センター中央病院  多職種支援チーム PC-Panda
国立がん研究センター中央病院  多職種支援チーム PC-Panda
(Parents with cancer and Children Support-Professionals and associates)

村松 恵
看護師歴26年。小児看護に携わる中で皮膚・排泄ケア認定看護師となり、小児専門病院で15年の看護経験。その後在宅にフィールドを移し、小児から高齢者まで幅広い経験を持つ。
私生活では医療的ケア児(小学5年)の母でもある。新潟県十日町市出身。
「めぐみが行く」では、知りたいこと、見たい場所、取材して欲しい人など募集しています。
editor@medi-banx.com まで、メールでご意見・ご感想をお寄せください。

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