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感染管理認定看護師と手術看護認定看護師による座談会
手術室での手荒れ、アレルギー対策とダブルグローブ活用

投稿日:2023.12.15

「手荒れ」の背後には、ラテックスアレルギー、接触皮膚炎、手指衛生の増加など多様な原因が考えられます。人によって「手荒れ」の認識は異なるため、その原因を特定し、適切な対策が必要です。
今回の座談会では、手荒れの多面的な考察と要因となり得るものを深堀しながら、アンケート結果をもとに課題や対策についてお話いただきます。(2023年8月5日取材)
四宮 聡 先生
角井 祐香 先生
香取 良美 先生
木田 啓太 先生

【アンケート調査概要】
■調査期間:2023年6月14日~7月7日
■調査内容:手術用手袋定量調査
■アンケート回収数:226件
■調査主体:メディバンクス株式会社

手指衛生遵守率向上とともに手術室で取り組む手荒れ対策とセルフケアの推進

手術用手袋定量調査


四宮:
手指衛生遵守率向上と手荒れ対策のため、 アルコール製剤の個人配布や設置場所の工夫、 皮膚科受診の推奨などにそれぞれ取り組まれているということですが、 手術室での手荒れ対策についてはいかがでしょうか?
角井:
皮膚科受診の推奨や保湿剤を使用し予防に努めています。 手袋は各自に合わせたサンプルを取り寄せていますが、 全員の要望に応じるのは時間がかかります。
香取:
手荒れは、手袋や手洗いだけではなく、アルコールの使用や化学繊維などのアレルギーなども原因となり得るため、他の要因にも注意を払っています。
木田:
無添加の石鹸を試しましたが、大きな効果はありませんでした。 保湿と手袋の選択肢を増やすことに注力しています。 手袋は、6〜7種類から選べるようにして、 スタッフの手の状態を最優先に対応しています。
四宮:
手袋の選択や保湿は大切ですね。 保湿成分を内包する手袋も効果的な良い方法として考えられます。

手荒れにも関連するアレルギー対策

四宮:
ラテックスアレルギーへの対応や啓発活動について、 現場での変化や具体的な取り組みを教えていただけますか?
木田:
膀胱留置カテーテル以外はほぼラテックスフリーです。 年に1回、 アレルギー対策に関する勉強会を開催しています。
香取:
基本的にラテックスフリーになっています。 勉強会は認定看護師が行っています。 また、 全患者のスクリーニングを行う体制を整え、 ポスター化したものを手術室と外来に掲示してあります。
角井:
ラテックスとラテックスフリーの製品の両方を取り扱っているので、患者の状態に合わせて適切に選択して使用しています。 代替が利かない場合は、 主治医と相談の上で、 その製品の使用を決定しています。

ダブルグローブの使用状況について

貴院手術室では、ダブルグロービング(二重手袋) の使用が推奨されていますか?
四宮:
ダブルグローブの使用が増えているようですね。 実際はいかがでしょうか?また、 手術用手袋をつけた際に、 一部の方が手の疲労感を感じています。 影響要因についてのご意見や着用時の工夫などがあればお聞かせください。
角井:
ダブルグローブを使用しています。 手の疲労に関しては、 手袋のサイズが合っていない、 または時間が経つと手がむくみ、 手袋がきつく感じる方もいるかと思います。 個人で異なりますが、 少し大きめのアンダーグローブの上に適切なサイズを被せる方法が多いです。
香取:
ガウン袖口の材質が直接肌に接触し、 汗などで接触皮膚炎を引き起こしていると考えられる事例を経験しました。 当院では、 ダブルグローブ装着時の工夫として、 アンダーグローブをガウンよりも先に着用することでこれを軽減する試みを導入しています。
木田:
ほぼダブルグローブを使用しています。 スタッフによっては、 手術により手袋のサイズを変更することがあります。 特に針を扱うことが多い手術では、 手袋のゴワつきが影響することがあるようです。
四宮:
確かに、 細かい作業をする時の手袋の引っかかりは不快に感じることがあります。 フィ ット感や指先の感覚は大事ですね。

手袋の破損と交換基準

手術用手袋のピンホール、術中の物理的破損、時間劣化により 穿孔が発生する事が多い、平均使用時間を教えてください。
四宮:
手袋の破損や交換の基準はどう設定されていますか?
木田:
当院は、 診療科を問わず3時間ごとの手袋の交換が推奨されています。
香取:
徹底には至っていませんが、2〜3時間ごとに交換するようにしています。 特に腹部洗浄前は手袋交換を行い、 記録に残します。
四宮:
手術中の手袋の破損は、 感染症対策においても重大な問題です。 適切な交換や色付きアンダーグローブの使用などで、 しっかり対応したい課題ですね。
最後に、 手袋の取り扱いに関する課題や改善点について、 意見や提案があれば教えてください。
角井:
手袋は指先の感触、 フィ ット感が非常に重要だと感じています。 特に親指と人差し指は大事です。 針を扱う感覚は、 新人の頃からダブルグローブを使用し慣れることで、 違和感なくダブルグローブに対応できるようになると思います。 そのため、 ダブルグローブを定着させることが必要ではないかと思います。

座談会のまとめ

現場には多くの課題が残っています。 しかし、 アレルギーや手袋選択、 セルフケア教育は改善の方向を示してくれると思います。 病院によっては、 手荒れやスキンケアに対する教育の重視が見受けられ、 これは手術室看護師のスキルや知識の拡充、 さらには患者ケアの質の向上に寄与すると思われます。 その上で、 組織の体制変革と個別指導のバランスの重要性を再確認することが必要だと認識しました。

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