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    健康維持 に 欠かせな い ビタミン  ビタミンA
西山順博先生に訊きました

『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』 第34回
健康維持 に 欠かせな い ビタミン  ビタミンA

西山順博先生に訊きました『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第34回

健康維持 に 欠かせな い ビタ ミン  ビタミン A

ビタミンAは、動物性食品と植物性食品のどちらからも摂取できますが、植物性食品から摂り入れる場合は、プロビタミンAであるカロテノイドがビタミンAに変換されます。

脂溶性ビタミンのため、 特に過剰摂取には気をつけたいビタミンです。正しく理解し、患者のサポートに繋げましょう。

■ビタミンAとは

 脂溶性であるビタミンAはレチノイドという名称で、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称です。食事から摂取する場合、体内でビタミンAとして機能する化合物にはいくつかの種類があります。「レチノール」「レチナール」「レチニルエステル」が直接ビタミンAとして働きます。

 また、「プロビタミンAのカロテノイド」(例:β-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチン)も体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAの数値は、レチノール活性当量(retinol activity equivalents:RAE)という単位で表します。

■ビタミンAのはたらき

 ビタミンAの主要成分であるレチノールとレチナールは、成長を促進したり、皮膚の粘膜を正常に保つ作用があります 。また、網膜細胞を保護する作用や、視細胞での光刺激反応に不可欠な、暗順応に関わる物質です。

■ ビタミンAの消化、吸収

ビタミンAは、動物性食品からはレチニル脂肪酸エステル、植物性食品からはプロビタミンAであるカロテノイドとして摂取されます。これらは小腸でレチノールに変換され、動物性食品からの吸収率は70~90%になります。
 β-カロテンは、他のカロテノイドよりも転換効率が高いですが、全てがビタミンAに変換されるわけではありません。β-カロテンは、吸収効率やビタミンAへの変換率、β-カロテンからレチノールへの転換効率を考慮すると、食品由来β-カロテンのビタミンAとしての生体利用率は、1/12となります。そのため、食品由来β-カロテン12µgはレチノール1µgに相当する量(レチノール活性当量: RAE)であるとして換算されます。

 ただし、サプリメントとして摂取する油溶化β-カロテンは、ビタミンAとしての生体利用率が1/2程度であり、2µgのβ-カロテンは1µgのレチノールに相当し、食品由来の
β-カロテンとは異なる扱いとなります。


■過剰と欠乏

 肝臓内に貯蔵されているビタミンAは最低値(20µg/g)を下回らない限り、夜盲症や免疫力低下などの軽度なビタミンA欠乏症は起こらないと考えられています。そのため、成人が4ヵ月間ビタミンAの含まれない食事しか摂取していなくても、肝臓内のビタミンA貯蔵量が20µg/g以上であれば、血漿レチノール濃度は正常値を維持できるとされています。

 また、ビタミンAは脂溶性のため、摂取すると体内に蓄積しやすくなります。そのため、ビタミンAの過剰摂取は健康に悪影響を与える可能性があり、上限値が設定されています。通常の食事からの過剰症は稀ですが、サプリメントやレバーの過剰摂取には注意が必要です。妊娠3ヵ月以内では、過剰摂取により胎児の奇形リスクが知られています。

 また、β-カロテンからのビタミンAへは、必要量のみ変換されており、β-カロテンからのビタミンA過剰症は起こらないと考えられています。


■ビタミンAを上手に摂取しよう!

 ビタミンAは、レバーや魚介類、乳製品、卵類、藻類、野菜類などに多く含まれています。脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂取すると吸収率がアップします。
食品100g当たりのビタミン A(レチノール活性当量 )の含有量


<参考>
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
内閣府:食品安全委員会
https://www.fsc.go.jp/okaasan.html
文部科学省:食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html
食と健康の総合サイト e840.net
https://vitamin.e840.net/v111000.html
栄養andカロリー計算
https://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/retinol_deal.html

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