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WOCナース座談会企画第1回

〔第1回〕慢性創傷の具体的な状態や難渋する創傷の処置の困難さ

投稿日:2016.06.02

●難渋する創傷の状態と患者の特徴について

溝上 本日はご経験豊富な4名の看護師の皆さんに、慢性創傷の管理における具体的なテクニックやスキルについてお聞きしたいと思います。最初に、難渋する創傷とはどのようなものなのか、創の具体的な状態や、治癒過程での難しさについて教えてください。
間宮 まず、感染のある創は、治癒が長引くために難渋する印象があります。そして、その際に大切なのは、その感染に至った患者さんのバックグラウンドを把握することです。特に高齢者の場合、さまざまな既往歴がありますから、それを踏まえながら難渋するリスクについて考えていきます。また、独居、日中独居といった生活環境の問題もあります。独居の場合には、傷をみるタイミングが遅れてしまいがちですし、清潔を保つという意欲の低下から常に皮膚が汚染されている状態になりやすく、その結果、傷ができてしまうと長引くという印象があります。
加瀬 難渋する創傷は、滲出液が非常に多く、高齢者で低栄養というバックグラウンドがある患者さんに非常に多いという印象をもっています。滲出液が多いと、どうしても良好な肉芽を作れずに慢性化してしまいます。その結果、難渋してしまうという経験は少なくありません。
松岡 膠原病でステロイドをずっと服用している方などは、皮膚が脆弱になっており、傷になりやすいという傾向があります。いったん傷になると、内服薬の影響で炎症が抑えられてしまい、創傷の治癒過程に悪影響を与える可能性があります。そうした傷は、クリティカルコロナイゼーションになりやすく、難渋してしまうという印象があります。
丹波 痛みが強い患者さんには軟膏を使用しますが、洗浄が難しかったり、ガーゼを剥がす際に強い痛みを伴ったりすることが多く、困っています。認知症の患者さんの場合などは、痛みや痒みがあると自分で剥がすことがあり、難渋する原因になります。クリティカルコロナイゼーションで肉芽はいいのですが滲出液が汚いという状態も同様で、きれいに剥がして周りの皮膚も守るのに苦労します。
間宮 自己で剥がしてしまう場合には、二次損傷が起こりやすくなりますね。痛みや痒みを我慢できずに二次損傷につながることが少なくありません。

●難渋する傷の特徴について

溝上 創の状態に着目すると、感染の兆候を感じるのはどのような気付きを得たときでしょうか。また、クリティカルコロナイゼーションにおいて細菌の暴露が影響していると感じるのは、傷のどのような状態に対してですか。

松岡 滲出液の多さや臭いのほかに、滲出液に粘性が出てきた場合ですね。ねっとりとした感じがあるのと、肉芽組織自体も異常に赤く、むくんでいる状態になっていきます。

丹波 同感です。ぶよぶよしてきて、ぬめりも出てきます。

間宮 色が異常に赤く、簡単に出血してしまう状態の場合もそう感じます。

溝上 感染創において、バイオフィルムに関する解明が近年進んできましたが、皆さんは創がどのような状態の時に、バイオフィルムだと感じますか。また、感染創で疼痛を伴う場合にはどのような傷が多いでしょうか。たとえば、褥瘡でもそれがあるのですか。
間宮 ぬめりがあるのは大きなポイントで、創が膜を張ったような状態になります。そうなるとバイオフィルムであると感じます。痛みについて言えば、真皮レベルの浅い傷の場合は、いわゆるスキンケアをする際に、痛みを伴うことがよくあります。浅い傷ですから本来早く治癒するはずが、痛みがあってケアがしにくく、洗浄が十分できずに治癒が長引くというケースは、注意すべきでしょうね。そうしているうちに、創表面にバイオフィルムができ、浅い傷なのに 壊死組織が癒着している状態も、高齢者ではよく見かけます。

●難渋する創傷の処置の困難さ

溝上 難渋する創傷というのは、つまりは、処置が複雑になるからそう言える側面があると思いますが、処置を行うにあたり難しさを感じるケースにはどのような状況がありますか。

加瀬 退院時に、まだ創傷があり、在宅において自分で処置をしなければいけない状況になったときですかね。患者さん自身が、自分で処置をするという受け入れができないまま退院してしまうと、その結果、ケアが不十分になり、治らず長引いてしまうというケースを多く経験しています。
松岡 患者さんにとっては、今まで医療者が処置やケアをしてくれていたことを、自分でやらなければならなくなるとは想定しておらず、こんな傷を持ったままで帰っていいのかとか、本当にシャワーで洗浄してよいのかとかという疑問や不安を消化しきれず、簡単には受け入れられないのではないかと思います。傷を洗うということは、私たちにとっては普通のことでも、まだまだ一般の人たちにとっては、当たり前のことではないのだろうと思います。
丹波 特に手術創は消毒のイメージが根強いでしょうから。表皮剥離であればまだ洗えますが、SSI(Surgical Site Infection:手術部位感染)や褥瘡など、皮下組織が少しでも残っていたりすると余計に洗うのが怖いのではないかと思います。

溝上 そうですね。その意味でも入院時に、患者さんに創傷についての理解を深めてもらうために私たち看護師がすべきことは多いということが言えるでしょうね。
では次回は、在宅において行うべき、処置を簡略化した創傷ケアについて話していただきます。
●今回の記事で紹介された抗菌性創傷被覆材の紹介
メピレックス® Ag 承認番号 22500BZX00439000
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メンリッケヘルスケア社HP
メピレックス® ボーダーAg 承認番号 22700BZX00244000
滲出液を吸収し、銀イオンを放出する抗菌性の一体型フォームドレッシング。セーフタック®のシーリング効果によって滲出液の漏れを防ぎ、脆弱皮膚の患者様でも安心して使用できます。
メンリッケヘルスケア社HP

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