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専門家Q&A

経腸栄養を行っている患者様の栄養剤のことに関して

ご質問

経腸栄養を行っている患者様の栄養剤のことに関して教えて頂きたいのですが、経腸栄養患者の難治性下痢に対して、栄養剤をミキサー食注入にかえ、1、2日で改善した例を経験しました。
文献等調べていますが、あまり表面化されていません。
積極的に取り組んでいってよいものか、教えていただければと思います。

専門家の見解

ミキサー食をPEGから注入するのは家族と同じものを食べれるという理想的な方法だと思います。しかし、PEGカテーテルが20Fr以上ないとカテーテルの閉塞につながる可能性があり注意が必要ですし、注入後のフラッシュは欠かさないでください。

10年前は経腸栄養剤が今ほど豊富でなく、高価であり家族の食べる食事の一部をミキサー食にして注入されていた在宅患者さんも多く見られました。最近は色々の種類の経腸栄養剤が開発され、準備の必要がないこと衛生的であること、バランスのとれた栄養が確保できることより経腸栄養剤が多用されています。

難治性下痢がミキサー食で改善した!これには2つのポイントがあると思います。1つは固形化栄養になったこと、もうひとつは患者さんが乳糖不耐症であった可能性があることです。患者さんはお元気な時は牛乳で下痢されていませんでしたか?もし乳糖不耐症であれば、乳糖を使っていない経腸栄養剤でも下痢しないのではないでしょうか?ミキサー食は準備がかかることカテーテルが詰まりやすいことなどデメリットもあります。患者さんの背景をみながら勧めてあげてください。

私の患者さんで、お孫さんの誕生日のケーキをミキサー食にしてPEGから注入して誕生日を祝った方がいましたよ!在宅医療でしかできないサービスであったと思います。

下痢の対処法については私の8月のコラムを参照ください。

専門家の見解

文献について補足します。
Google scholarで ”ミキサー食” ”下痢” のキーワードで検索したところ
いくつか面白そうな文献がヒットしました。
全文をネット上では見ることができない物が多いのが残念ですが、参考になれば幸いです。
特に2003年の粟井先生の論文が参考になると思います。

また、Google scholarは無料で利用でき、こういった文献探しに役に立ちます。
Googleのツールバーで「もっとみる」をクリックし、
「さらにもっと」をクリックすると見つかります。
私はお気に入りにいれています。
また、下記のURLから直接たどりつけます。
http://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja&as_sdt=0

胃瘻栄養患児におけるミキサー食を用いた半固形化栄養剤短時間摂取法導入の経験
高見澤 滋、他
日本小児外科学会雑誌 46(5), 842-846, 2010-08-20
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007682253  抄録あり

胃瘻からミキサー食を注入しての効果
鈴木 香里、他
日本看護学会論文集, 看護総合 36, 408-410, 2005
http://ci.nii.ac.jp/naid/40007370866/  抄録なし

参考
市販の経腸栄養剤への粘度調整の試み
村林 由紀、他
静脈経腸栄養 21 85-89, 2006
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/21/1/21_1_85/_article/-char/ja  抄録、全文閲覧可能

胃瘻からの半固形化栄養材をめぐる問題点とその解決法
合田 文則、他
静脈経腸栄養 23: 235-241, 2008
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/23/2/23_235/_article/-char/ja  抄録 全文閲覧可能

→孫引き

胃瘻 (PEG) からのミキサー食注入の臨床的検討
粟井 一哉、他
静脈経腸栄養 18(4), 63-66, 2003-12-25
http://ci.nii.ac.jp/naid/50000374276/  抄録なし

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
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