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西山順博先生に訊きました

『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第28回 健康維持に欠かせないビタミン⑥ ビタミンB6

西山順博先生に訊きました『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第28回

健康維持に欠かせないビタミン⑥ ビタミンB6

ビタミンB6は、エストロゲンの代謝や赤血球の合成にも関わっており、月経前症候群の患者は不足しがちです。

また、妊娠中や授乳中はたんぱく質の代謝が促進されるためしっかりと補うことが必要です。

正しく理解し患者のサポートに繋げましょう。

ビタミンB6とは

水溶性ビタミンのひとつでエネルギー代謝の補酵素として働いています。特にたんぱく質の分解を助けているため、たんぱく質の摂取量の多い人ほどビタミンB6の必要量も多くなります。腸内細菌によって体内でも作られているので、一般的には不足しにくいですが、長期間抗生剤を服用している人では腸内細菌叢のバランスが崩れ、不足することがあります。

■ビタミンB6のはたらき

アミノ基転移反応、脱炭酸反応、ラセミ化反応などに関与する酵素の補酵素、PLP(ピリドキサール5-リン酸)として働き、免疫系の維持にも重要な役割を果たします。また、ビタミンB6摂取量と大腸がんとの関係の調査では、男性においてビタミンB6の摂取量が最も少ないグループ(平均摂取量は1.02 mg/日)に比べ、それよりも多いグループ(~1.80mg/日以上)で30~40%リスクが低かったという報告があります。ビタミンB6が大腸がんの予防因子になり得ると考えられ、生活習慣病の発症予防としても注目されています。

■ビタミンB6の消化、吸収、代謝

ビタミンB6活性を有する化合物として、ピリドキシン(PN)、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)があります。また、それぞれのリン酸化型であるピリドキシン5-リン酸 (PNP)、ピリドキサール5-リン酸(PLP)、ピリドキサミン5-リン酸(PMP)は、消化管でビタミンB6にまで消化された後、体内に取り込まれます。動物性食品にはPLP、PMPとして含まれ、食物性食品にはPNが多く含まれています。消化過程は食品ごとに異なり、一緒に食べる他の食品によっても影響を受けます。

■ビタミンB6の過剰と欠乏

過 剰

症状:なし
※通常の食品で100g当たりのビタミンB6含有量が1mgを越える食 品は存在しないため、過剰摂取による健康障害の心配はない。
ただし、サプリメントなどでのPN大量摂取により感覚神経障害を発症することもある。

欠 乏

症状:
①ペラグラ様症候群 ②脂漏性皮膚炎 ③舌炎 ④口角症 ⑤リンパ球減少症
【成人の場合】
⑥うつ状態 ⑦錯乱 ⑧脳波異常 ⑨痙攣発作
※皮膚や粘膜は生まれ変わりが速い組織であるため症状が現れやすくなる

ビタミンB6を摂取しよう!

人がたんぱく質を摂取すると、小腸で吸収された後に体に必要なたんぱく質に合成され、その合成にビタミンB6が必要となります。よって、たんぱく質やアミノ酸の摂取量が増えるとビタミンB6の必要量も増えるので、たんぱく質やアミノ酸を多く摂取するときはビタミンB6も意識して摂るように心掛けましょう。特に、ビタミンB群はお互いに助け合いながら作用することから、どのビタミンもバランスよく取り入れることが大切です。また、冷凍食品、加工食品では減少するため、新鮮な状態での摂取が望まれます。
ビタミンB2を摂取しよう
<参考文献>
●「日本人の食事摂取基準(2020年版)ビタミン(水溶性ビタミン)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586563.pdf
●栄養andカロリー計算 http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/index_nut.html
●岡田晋吾(編)「キーワードでわかる臨床栄養 令和版~栄養で治す! 基礎から実践まで」(羊土社)
●Larsson SC, Orsini N, Wolk A. Vitamin B6 and risk of colorectal cancer: a metanalysis of prospective studies. JAMA. 2010; 303: 1077─83.
ビタミンB1はこちらビタミンDはこちらに掲載しております。

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