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新型コロナウイルス感染症~どう変わる?「2類相当」から「5類」への変更に向けて ~

投稿日:2023.05.15

新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の感染症法上の分類が2023年5月8日以降、「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に変更されます。

入院勧告が廃止されることによって医療提供体制のひっ迫軽減に期待が寄せられる一方、これまでCOVID-19の入院患者を受け入れたことがない医療機関での入院調整などで混乱が生じかねない懸念の声もあがっています。5類移行に向けて、感染症対策の専門家である森兼啓太先生に、医療従事者が心構えしておくべきことなどをお伺いしました。

(2023年3月6日オンライン取材)
山形大学医学部附属病院
検査部 部長 病院教授
感染制御部 部長
森兼 啓太 先生

事務負担の軽減に期待

 2類相当では医療機関から各保健所に全数届け出となり、 さまざまな事務的作業が発生していました。5類へ移行するとそれらが簡略化されるため、 業務負担の軽減が期待されます。 一方、5類となると医療費の公費負担が一般的にはなくなるということです。 これが最大のデメリットとして懸念されていました。 例えばコロナ治療薬は高額のため、 患者の自己負担となるとほとんど処方されなかったり、 患者が受診をためらい重症化したりする可能性があります。 これでは治療の向上につながらないため、 議論を重ねたうえで一部の公費負担は継続される見通しとなっています。 この辺りが担保されればそこまで5類移行によるデメリットはないと考えています。

患者の受け入れ体制を変更できるかどうかは設備差も

 実際に5類へ移行したのち、COVID-19患者を受け入れていた医療機関とそうでないところで急激に対応を変更するのは難しいですが、公的にはこれまで受け入れていなかった医療機関でもCOVID-19患者の診察や入院が求められることは事実です。現時点では感染者の個室 ・隔離対応が院内での、COVID-19感染対策として非常に重要な要素となるため、個室を準備できるような施設に関しては、これまでと体制を変え、COVID-19患者の入院を受け入れていく可能性があります。ただし高リスク群が多い施設や、非感染者と動線を分離できないなど、どうしても受け入れられない医機関もあるでしょう。

 大学病院などが本来の高度医療を提供できるようになるかどうかですが、これは地域の特性によって違いがあり一概には言えません。コロナ病床が解放されることで、ベッドコントロールがしやすくなりスムーズに医療が提供できる場合も考えられます。ただし病床が人口に対して余裕のあった地域ではそこまで変化はないのではないでしょうか。

「5類」への類型変更は社会的状況を踏まえて

 今後流行が広がったとしても、 基本的には決まったスケジュールで5類へ移行することになります。 中には不安に思う人いるかもしれませんが、 心配のしすぎは良くありません。

 類型の移行は、 流行の大きさと必ずしも関係あるものではなく、 あくまでこの感染症が社会に与えるインパクトの大きさ、 経済的な活動や、 人々の日常生活などを含めて決定します。医療機関 ・医療従事者ばかりが過剰に感染対策をするのはアンバランスになってくるでしょう。

 国の発生動向調査では、 国民の約30%がCOVID-19に感染しました。軽症で受信せず、COVID-19と診断されていない人も含めると、それ以上が感染しているでしょう。 もはや珍しい感染症ではなくなりました。 その一方で、感染力や感染経路が変わったわけではありません。 感染経路はおもに飛沫感染ですので、 感染した患者さんの対応時は、 基本的にはサージカルマスクの着用、個室管理とし、これにどの程度上乗せしていく (空気感染 ・エアロゾル感染の懸念と対策) のかは今後も継続して議論していくことになるでしょう。
表 COVID-19「2類相当」と「5類」移行後の対応の違い(2023年3月現在)
表 COVID-19「2類相当」と「5類」移行後の対応の違い(2023年3月現在)

参考:
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更に伴う 主な課題と対応について
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001059902.pdf
厚生労働省 国内の発生状況など
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html

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