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感染管理認定看護師が教える現場のノウハウ連載第3回

感染管理認定看護師が教える現場のノウハウ連載第3回

投稿日:2013.12.28

手袋から考える医療安全

 ~正しい手袋の着脱方法について~

看護臨床の現場で欠かせない手袋について考えるシリーズ。
今回は手袋の正しい着脱方法を中心に、医療用手袋の一流メーカー・オカモト株式会社の瀬尾さんと感染管理認定看護師の小澤さんに話をうかがいました。
手袋の正しい「外し方」を身につける

小澤 気をつけなければならないのは、処置をしたあと、手袋をつけたままでパソコンを使ったり、ペンを持ったりすること。
これは感染管理の面から考えると非常に危険です。
手元に替えの手袋がなかったり、着脱がつい面倒になってしまうことも少なくないようですから、たとえば替えたいときにすぐに取り出せるような場所に手袋を置いておくなどの環境づくりも大切になってくると思います。

瀬尾 すぐに手袋を着脱できるような環境作りですね。病院によっては、手袋を入れておくラックを院内のそれぞれの場所に置いて、すぐに使えるような仕組み作りをしているところもありますね。
では、手袋の着脱において気をつけるべき点はありますか?

小澤 大事なのは外し方ですね。それは間違わないでほしいと思います(※参照)。
処置が終わったあとの手袋は基本的に表面がすでに汚れていますから、絶対に触らないことが必須です。自分の手や腕に触れることのないように、捨てるときにも院内に設置した専用のゴミ箱に即座に捨てる。
自分のポケットなどに絶対に入れない、手袋のままで他のものに絶対に触れないことを徹底しています。
瀬尾 ゴム系とプラスチック系など、素材によって着脱のしやすさなどをお感じになりますか?

小澤 基本的には変わりませんが、密着度の高い手袋は処置の際にはいいのですが、フィットし過ぎて、外すときには少し難しいですね。汗をかいてしまっていると外す際に手間取ってしまって、焦って外側を触ってしまうこともあるようです。
その点では外しやすい手袋のほうが有難いですが、あまりに緩いと処置をするときに隙間から感染することも考えられますから難しい。
手袋を実際に着けてみて、自分の最適なフィット感を大事にすることだと思いますね。
また着脱について言えば、たとえば1回のおむつ交換で3回程度は手袋を替えるべきなのですが、中には少し面倒だからと、最初から3枚着けておいて、都度外していけばいいという方法をとる看護師もいます。
私はこれには否定的で、手袋に穴があいてしまうことも考えられ、重ねて着ける安心感で手洗いが不十分になる人もいて、当院では重ね着けは不可の方針にしました。
処置の後は、着けている手袋は必ず全て外すという約束ごとを作りました。

汚れがどのように伝播するかを視覚的に学ぶ

瀬尾 ニトリルやプラスチックなど、用途によって素材の使い分けをされたり、また用途に関わらず素材を統一されている病院もあるようですが、そのあたりの判断はどのような理由の中でされていくのでしょうか。
ニトリルはプラスチックに比べるとやや高価になりますが、破れにくいという大きな利点があります。反面、コストを優先という施設ももちろんありますね。そのあたりはいかがですか?

小澤 やはり強度は非常に大きなポイントですが、一方でコストも大きな問題ですね。
ですからニトリルにしてもプラスチックにしても、処置によっての手指への負荷のかかり方を考えながら、用途に応じた使い分けをするのが良いのではないでしょうか。
瀬尾 手袋の着脱を奨励していく意味で、院内ではどのような教育を行っておられますか?

小澤 たとえば5人程度でペアを組んでもらい、最初の人に軽く蛍光塗料を塗って、次々に握手を してもらうことで、どの程度の汚れが伝わるかを視覚的に理解してもらう勉強会なども行っています。
自分が意識していない中で、体のいろいろなところに付いていて驚くこともあるようですね。

瀬尾 メーカーとしても、そうした啓蒙的な活動もしていかないといけないと思いますね。
なぜ手袋を着けるのか、という目的や、用途に応じた手袋の特長や機能などを説明した資料を、各施設にも提供しています。
こうした協力を今後も積極的に行っていきたいと思っています。

どうもありがとうございました。

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