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ナースマガジン vol.36

聴きある記:ナースの星Webセミナー 新型コロナウイルスのクラスターを防止する!

投稿日:2021.08.23

新型コロナウイルス感染症は、世界各地でウイルスが変異を遂げながら感染を拡げ、いまだに終息の兆を見せることがない。 メディバンクスでは、オンライン型のWebセミナーでも積極的に感染対策の啓発を行っている。

今回、エアロゾルを主な感染経路とする新型コロナウイルスの感染対策シリーズから、大石貴幸先生の「病院編:慢性期病院を中心に」 の講演要旨を一部紹介する。(編集部まとめ)

※8.20(金)~8.31まで再配信決定!お申込は下記から(2021年8月26日申込締切)
【病院編】⇒セミナー詳細&申込はこちらから
  国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター 第四室 黒須 一見 先生
  済生会横浜市東部病院 TQMセンター 感染管理対策室 副室長 大石 貴幸 先生
【社会福祉施設編】⇒セミナー詳細&申込はこちらから
  箕面市立病院感染制御部 副部長 四宮 聡 先生
  大阪大学医学部附属病院 感染制御部 副部長 太田 悦子 先生

※Medi-Lib(メディライブ)では、8月31日から4週にわたり毎週火曜日に追加されていきます。
ナースの星WEBセミナーでご視聴できなかった方は、是非メディライブでご視聴ください。
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変異ウイルスが感染拡大を惹き起こす機序

 近年、 変異ウイルスが問題となってきている。 変異ウイルスは感染率が従来型よりも高く、 基本的に問題となる変異が二つあるといわれている。 一 つは細胞に侵入しやすい変異で、 これによって感染性が向上する。

 もう一 つの変異は従来株と抗原性が異なり、 再感染、 あるいはワクチン逃避(接種したワクチンが効きにくい) という特徴があるといわれている。 通常、 ワクチンなどでできた抗体は、 ウイルスのスパイクに結合してヒトの細胞への侵入を阻止しようとするが、 スパイクの形が抗体に合わないように変異することで、再感染やワクチン逃避が起きやすくなる。 さらにこれら両方の感染変異が起こることで感染力が上がり、 再感染、ワクチン逃避を惹き起こす変異ウイルスも報告されている (図1) 。

基本的な感染対策

 変異ウイルスでも基本的な感染対策を適切に実施すれば、 粘膜に付着するウイルス量はかなり少なくなる。効果が一番高いのはマスクの着用で、大きな声を発しても飛沫が抑制され、 エアロゾルの予防効果も高いといわれている。

 米国からの報告によると、直径約0.05㎛ の微粒子(新型コロナウイルスの半分程度の大きさ)の濾過率は、マスクの種類や付け方によって異なる。不織布製のサージカルマスクの上に布製のマスクをつけた二重マスクと、サージカルマスクの横の隙間を防ぐように結んだ密着マスクを比較してみると、密着マスクでは65%程度の予防効果、 二重マスクでは83%にまで効果が上がる (図2)
 ただし、 不織布製サージカルマスクを二重にしても同じ形で鼻や横の隙間を埋める効果があまり得られないため、 不織布製マスクの上から布、 ポリエステル、 ウレタン、 ナイロン製などのマスクをつけフィット性をより上げると効果が高い。 この方法は、 比較的リーズナブルであり医療施設でも導入しやすい対策である。

 サージカルマスクは100%ウイルスを防御できるわけではないため、陽性 ・ 疑い患者と接触する場合は、0.3㎛ の粒子を95%以上捕集する高性能な医療用マスクであるN95レスピレータを使うべきである。N95レスピレータは、 できれば日本人の顔に合う日本製品を入手・確保しておき、 陽性者が発生した際に医療従事者を守るために使用するとよい。

 N95レスピレータは、 患者がマスクをつけられない場合や、 吸引処置、 低換気の室内への入室など、 エアロゾルが発生している可能性がある際に着用が求められる。 また、 飛沫が眼に飛散する際にはフェイスシールドやアイプロテクト、体位変換など患者と密着する場合や飛沫が着衣、 手指に付着するときはガウン、 手袋を合わせて着用する。 手指衛生の徹底で、 手についたウイルスを死滅させることも重要である。

クラスター発生を予防する有効な感染対策を

 医療施設内でのクラスター発生予防には、 スタッフへのワクチン接種がもっとも有効性が高い。 ファイザー社製のワクチンは、 変異ウイルスに対しても効果があるといわれている。 横浜市大病院の報告によると、1回ワクチンを接種すると半数以上の人が変異ウイルスに対する中和抗体を獲得し、2回接種すると8〜9割の人が抗体を得ることができる。

 一方、 感染者の早期発見のための検査であるが、 抗原定性検査は感度が低く、陽性と判定されなくてもウイルスを排出していることもあり、 その期間に感染が発生、 クラスターへ発展することがある。 無症状者や濃厚接触者への検査に用いられるPCRは非常に感度が高いが、 それでも感染初期は陰性と判定されるため、 検査結果を100%信頼することには注意が必要である。 検査結果を日々の感染対策に活かすことは大切だが、 検査結果と症状との整合性をもって結果を解釈し、 検査結果が陰性であっても感染が否定できない場合は適切な対策をとることが肝要と思われる。 職員の勉強会 ・ 研修会など、 教育面も徹底していく必要があるだろう。
最後に、私が訪問したさまざまな病院で目にした感染対策を紹介する(図3)。その有効性について、考えてみてほしい。
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