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ナースマガジン vol.36

『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第24回 健康維持に欠かせないビタミン

西山順博先生に訊きました『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第24回

健康維持に欠かせないビタミン

前回、新型コロナウイルス感染症との関係でビタミンDを取り上げたので、改めてビタミンシリーズをスタートします。

今回はビタミン総論です。
一般的にもよく耳にするビタミン。医療現場でもビタミンの注射剤や内服薬を扱うことがしばしばありますね。ビタミンは体内の様々な機能維持や代謝に関わる大切な栄養素であり、バランスよく摂取することが大切です。
 3大栄養素は、炭水化物、脂質、たんぱく質です。そのほかの微量な栄養素で 、無機化合物をミネラル 、有機化合物をビタミンといいます。ビタミンは体内ではほとんど合成することができないため 、食物から摂取する必要があります。ビタミンという名前は“生命(vital)に必要な、窒素を含むアミン化合物( amine )”という意味でつけられました。その名の通り、ビタミンは体内の代謝に重要な働きをする、生命維持に欠かせない化合物です。

ビタミンのはたらき

 ビタミンの働きには、生命を維持するのに欠かせない働きである「生理作用」と、積極的に病気を予防し治療する薬としての働きである「薬理作用」という二つの作用があります。

 私たちが体内に取り込んだ酸素の数パーセントは活性酸素と呼ばれる反応性の高い物質に変化します。この活性酸素は、その強い酸化力で体内のウイルスを撃退しますが、増えすぎるとDNAやタンパク質を傷つけ、細胞の機能低下、老化、動脈硬化などの原因となります。この活性酸素の働きを抑える“抗酸化作用”が薬理作用のうちの1つになります。すべてのビタミンに抗酸化作用があるのではなく、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、そしてビタミンB12がこの薬理作用の働きをします。

ビタミンの過剰と欠乏

 水溶性ビタミンは血液などの体液に溶け込んでいて、余分なものは尿として排泄されるため、体内の量が多くなりすぎることはあまりないと考えられています。一方脂溶性ビタミンは主に脂肪組織や肝臓に貯蔵されるため、摂りすぎると過剰症をおこすことがあります。

 また、ほとんどのビタミンがミネラルと同様に体内で作ることができない、できてもその量が少ないため、食事などで必要量を補わなければ欠乏症を引き起こす危険があります。

ビタミンにおける誤解

 ビタミン自体は体の組織を構成する要素ではありません。そのため食事を摂らずにビタミンだけをサプリメントから摂るのではなく、バランスのよい食事を基本とし、プラスアルファのビタミン補給ととらえましょう。

 高温多湿な日本の夏。夏は汗や尿とともに水溶性ビタミンが出ていきがちです。さらに、そうめんだけなどあっさりした食事になってしまったり、清涼飲料水やアイスクリームなどの甘い物を摂りすぎてしまったりすると、糖質をエネルギーに変えるために大量のビタミンB1が消費されます。このように夏はビタミン不足になりやすい季節であることも認識しておきましょう。
<参考>
食と健康の総合サイト e840.net https://vitamin.e840.net/
日本ビタミン学会 https://www.vitamin-society.jp/qa/
シオノギヘスルスケア https://www.shionogi-hc.co.jp/special/0308.html

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