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何ぞやシリーズ第17回 「OHAT(オーハット)」って何ぞや?

何ぞやシリーズ第17回 「OHAT(オーハット)」って何ぞや?

投稿日:2018.06.22

「安全においしく食べられるための口づくり」には、個々の口腔内のアセスメントと、その状況に合わせた正しい口腔ケアが欠かせません。
近年、口腔ケアの標準化を目指してOHAT(Oral Heath Assessment Tool:オーハット)というアセスメントツールが活用されるようになっているのをご存知でしょうか。
OHATって何ぞや?

口腔ケアは重要な感染対策の一つ

僕ら病院の医師が積極的に口腔ケアの勉強をしているのは、口腔ケアを感染症対策のひとつと位置づけているからなんだ。
みんなも知っての通り、高齢者の死因の上位を占める肺炎の予防法として、口腔ケアの効果は様々な論文で報告されているよね。
特に最近は、誤嚥性肺炎の予防対策が話題になっていて、2017年に出版された「成人肺炎診療ガイドライン」※1、でも取り上げられている。
要介護高齢者の健康を守るために、医科歯科連携だけでなく、介護スタッフも含めた多職種連携によるロ腔衛生管理が求められているんだよ。
※1 市中肺炎(CAP)、院内肺炎(HAP)、医療・介護関連肺炎(NH⊂AP)が成人肺炎診療ガイドラインとしてまとめられた。

OHATを導入すると

口腔内評価ツールといってもいろいろあって、
●重症挿管患者:VAP予防を前提とした評価
●化学療法患者:ロ腔粘膜炎・疹痛を主体とした評価
●要介護高齢者:口腔汚染・機能低下に注目した評価(OHAT)
と、病態によってポイントが異なるんだね。

こういう歯科との連携ツールを導入することによつて、
●口腔清掃状態を定量的に評価
●ケアの介入頻度と方法を決定
●早期からの医科歯科連携
などが期待できて、口腔ケアのボトムアップにも役立つわね。

スコア化は歯科対応が必要な症例を抽出しやすいし、個別対応に移行するしくみ作りにもつなげられると思うわ。
OHATは1回やったら終わりじゃないんだぞ。初回評価の後、口腔ケアプロトコルを使用したケアを行い、OHATの再評価をする、そこから行ったケアの有効性を確認することが大切なんだよ。

ロ腔ケアの目的は、口腔内をきれいにして感染予防をすることと同時に、口腔機能の維持・回復も重要だ。
その結果として、食欲や体力の増進、コミュニケーションの改善がもたらされ、引きこもりがちな高齢者の社会性を回復することにもつながるからね。
口の状態を正確に把握し、必要に応じて専門的なケアを行うことの重要性を、院内・院外を問わず伝えていこうね。
(つづく)

■監 修
藤田保健衛生大学 医学部歯科・口腔外科 松尾浩一郎教授

■参 考
口腔ケアの意義を再考する(2018年ナー.スの星Webセミナー

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