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【看護ケアQ&A】 フットケアにとって大切な靴選び

リハビリが始まって患者・家族に靴を持ってきてもらう時、患者・家族が靴を選ぶ時、どのような靴が必要かアドバイスしたことありますか?歩くという行為は生活の一部であり、靴があるからこそ安全に過ごすことができます。

しかし、フットケアが必要な患者は何かしらの疾患や既往があり、足の状態もそれぞれ違います。疾患によって異なる靴選びのポイントを西田先生にお伺いしました。 (編集部)

患者の足の形、見ていますか?

まず、患者の足がどの足の形か見てみましょう。第2指が1番長いものがギリシャ型、親指が1番長いものがエジプト型(外反栂趾になりやすい)、全体的に均一なものがスクエア型になります。

患者の足がどの形の足か確認し、靴の形(特に先端の形)を選ぶ目安としてください。

脳血管疾患患者の靴選び

Q1: 脳血管疾患の後遺症で片麻痺があります。リハビリが始まりますが、靴はどのようなものが好ましいですか?装具を着用して靴を履くので、気を付けるポイントを教えてください
A: 脳血管・疾患が既往にある患者は、疾患の後遺症によって片麻痺や麻痺側の足先が下垂しやすいことにより、転倒リスクが高くなります。

麻痺があることで医療者や家族が履かせやすい柔らかい靴を選んで履かせているのを見かけますが、そのような靴はとても歩きにくく、全身を支える足の保護としては適切ではありません。

麻痺により動きにくくなったり筋力が落ちたりした足の機能を補う短下肢装具を着用して靴を履く場合、装具を支えられるよう踵が固いものの方が望ましいかと思います。患者の麻痺の程度をアセスメント(表1)した上で、装具を着用する際の靴選びのポイント(表2)をチェックしましょう。
併せてオーダーメイドのインソール(中敷き)を作成すると、さらに荷重の低減を図り、足潰瘍発生の予防に努めることができます。足の形やサイズが左右で異なることを念頭に置き、それぞれの足とそのバランスをみていくことが大切です。

糖尿病患者の靴選び

Q2: 糖尿病が既往にある患者さんの末梢神経障害の合併症が出てきてしまってしびれがあり、痛みを感じにくくなっています。
そのような人にどんな靴を選んだら良いかわかりません。
A: 糖尿病患者の三大合併症に、網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害があげられることは皆さんご存知だと思います。糖尿病神経障害の患者は、足の感覚が鈍く痛みを感じにくいため、ケガややけどなど足の異常に気づきにくく、気付いた時には手遅れ…ということもあります。

また、足や足の指の変形により、餅砥(たこ)や靴擦れができやすくなります。
そのため、【表2】のチェックポイントに留意して靴選びを行い、潰瘍や壊疽にならないよう足を毎日観察します。異常があった場合は受診するよう指導しましょう。

浮腫みがある人の靴選び

Q3: ずっと車椅子に座っている患者の浮腫みが強く、タ方頃は靴が履けなくなって痛いっていうんです。浮腫みが強い患者の靴はどこに気を付けて選んだら良いですか?
A: 浮腫みの原因は様々ですが、浮腫みは身体に水分が溜まっている状態なので、皮膚が伸びて薄くなり脆弱化し、末梢が冷えやすくなります。
時間帯や体位、歩行による荷重などによって浮腫みも変化するため、靴のサイズが朝と夜で変わることも少なくありません。浮腫みの特性を理解して靴を選びましよう(表3)。
浮腫みのある方には、足の保護と保温のための靴下(レッグウォーマー)、浮腫みに対する弾性のある包帯やストッキングなどが用意されますが、ここでも注意が必要です(表4)。
浮腫みが著明な疾患として「リンパ浮腫」があります。リンパ浮腫発症のきっかけは悪性疾患に伴うものや原発性リンパ浮腫が考えられますが、悪化させる要因は日常生活にも多く存在します(表5)。
そのため、個人の生活においてもできる範囲でこれらの要因を取り除くことが重症化を防ぐことにつながります。
近年、様々な病院でリンパ浮腫外来が設立され、2020年診療報酬改定により悪性腫瘍の患者やそれに伴う術後の方だけでなく、原発性の方も保険適用の対象になりました。必要な治療を受けやすくなり、日常生活のみならず患者のQOLの改善にもつながると考えられます。

がん患者の靴選び

Q: 抗がん剤治療を開始したがん患者の、足の皮膚がカサカサして赤くなってきました。爪もボロボロになってきた気がします…。そんな中どのような靴や靴下を履けば良いのでしようか?
A: がん患者は薬剤の影響が大きく、特に化学療法で用いる抗がん剤は、がん細胞の増殖を抑制・死滅させる半面、正常細胞も攻撃してしまうため、個人差はあるものの副作用(表6)が出やすい治療になります。
これらの症状を重症化させないためには、抗がん剤治療が始まる前に現在の患者の皮膚や爪の状態、生活習慣、スキンケアに関する認識、セルフケア能力など総合的にアセスメントし、発症時に備えます。靴を履くときに使う手や足に皮膚症状が出ることも多いので、傷つけたり痛みを生じたりしない靴を選びましょう(表7)。
靴を履くという動作が、手足に皮膚障害を生じている方にとっては皮膚を傷つけかねないことを意識して、スムーズに履ける工夫をしましょう。
詳しくはこちらから→パシフィックサプライ株式会社
参考
・はじめよう!フットケア第3版編集:日本フットケア学会
 監修:西田壽代   発行:株式会社日本看護協会出版会2013

・生活の工夫カード <靴選びに困ったとき>
    国立がん研究センター中央病院看護部
  https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/nursing/division/support_card/11.pdf

・「令和2年度診療報酬改定の概要」個別的事項
 厚生労働省保健局医療課   https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000605493.pdf

 ・福ナビ とうきょう福祉ナビゲーション
<自分に合った靴の選び方> http://www.fukunavi.or.jp/fukunavi/kiki/shoes/shoes_08.html

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