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ナースマガジン vol.36

【看護ケアQ&A】慢性腎臓病患者の継続支援

投稿日:2021.08.09

慢性腎臓病(以下CKD)は8人に1人が発症する国民病となり、腎臓病専門の病棟や外来でなくてもCKDの患者と関わることが多くなりました。また、2018 年には腎臓リハビリテーションガイドラインが刊行されました。そこで今回は飯田先生にCKDにおけるリハビリテーションの概念と進め方やCKD患者の継続支援についてポイントをお伺いしました。
監修:飯田 美沙 先生
地方独立行政法人 長野市民病院 透析看護認定看護師・腎臓病療養指導士

腎臓 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ンの概念やリハビリの進め方について

CKDで透析を週3回行っている72歳の患者。ADLは自立ですが、透析後は疲労感により食事も半分ほどしか食べません。透析がない日でもトイレ以外動きたがらずフレイルの状態です。リハビリを進めていきたいのですが、どうすれば良いでしょうか?
フレイルとは運動機能だけでなく、認知機能、生活機能の低下も含まれます。そのため、この患者に対していきなり運動リハビリを開始するのではなく、動けないのか、それとも動かないのか、フレイルの原因が身体的要因、精神的要因、社会的要因のどれにあたるのかをまずアセスメントすることが大切です。
まず、原因が何なのかをナラティブアプローチ※を用いて患者から引き出しましょう。そして今一番と一緒に考え必要な介入や目標が何かを患者と一緒に考え、目標達成できるよう支援していくことが大切です。もし動かない原因が透析導入直後で、不均衡症状に伴うものであれば休むことが大切になります。

腎臓リハビリテーションとは、運動療法、食事療法、薬物療法、心理的サポートなどを行う、包括的的なプログラムであるため、腎臓リハビリテーションは運動面だけでなく生活全体から包括的に介入していく必要があります。まずは患者が何を大切にしてきて、これから何を大切にして生きて行こうと思っているのか、もしくは考えられない弊害が何なのかを一緒に考えましょう。

生活目標の中に患者が取り入れられる具体的な運動目標を組み込んでいけると、主体的にリハビリに取り組む動機づけになります。医療者側の一方的な押し付けにならないよう、患者の自発的な行動を引き出す働きかけをしていきましょう。

※治療・セラピーを目標にする関わりでなく、あくまでケア・援助を目標にして語り手の「語る」話を「物語」として聴く聴き手の姿勢・態度

リハビリを進めるにあたってのポイント

・患者と共に実生活に落とし込んだ運動目標を一緒に立案する
・高齢の場合は、一年前の筋肉量を維持できることを目標にする
・基本的には 4000歩/日を目安とし、個々の患者に合わせて
・歩数を設定する・
・Borg指数※を使い11 ~ 13 程度の範囲で運動する
・PTと自宅でも継続できる運動メニューを検討する
・運動リハビリは安全や運動強度を考慮して基本透析中以外の時間を勧める

※Borg指数とは主観的に運動強度を評価できるツールです


糖尿病性腎症について

8歳の糖尿病性腎症でCKDの重症度分類G3aA1の患者が入院しています。血糖コントロールが不良で間食はしないように伝えていますが、こっそり買ってきて食べているようです。何を食べたのかも教えてくれず、食べないように伝えても全く聞いてもらえません。退院後の生活も視野に入れて指導・支援していくにあたり、どうしていったらよいでしょうか?
まず「治療食が守れない」 「間食したことや内容を教えてくれない」この二つの行動を分けて考えましょう。 「治療食が守れない」ことについては、この患者の場合は血糖コントロール不良だったことから、ついつい間食をする習慣があったのではないでしょうか?
そのため突然の入院によって食事が制限され、身体も心も飢餓状態になった可能性があるので、入院したら管理栄養士に食事のエネルギー量を段階的に落としていけないか相談することをおすすめします。

患者の話を伺うと、仕事や家庭のストレスが原因でつい間食してしまうことがあります。。間食がやめられない隠された理由を患者から引き出し傾聴することも重要かもしれません。

「間食したことや内容を教えてくれない」背景には、指摘されるのが嫌・怒られるという思いがあると考えられます。私達が思っている以上に、医療者の一言は患者の圧力になり、その圧力を感じれば感じるほど、自分の行為を教えてくれなくなる可能性があります。患者へ行動変容を促す前に、私達看護師が患者に抱くレッテルをはがし、フラットな関係性を作っていきましょう。そして、病気に対する理解度がどの程度なのか、病気を受け止めているのか、その行動の背景に何があるのかを知ろうとしなければいけません。この段階を経てようやく患者との信頼関係を築くことができ、退院後も見据えた指導や支援を行えるようになります。

私は日頃から、北風と太陽の話をスタッフにお話しします。患者にこうしてほしいと思う時、北風のように強い風を吹かして無理に上着をはがそうとするのではなく、太陽のように少し離れた場所でぽかぽか温かい光を当てると、患者から上着を脱いでくれるようなことがあるのです。ぜひ太陽のようなナースになりましょう。


末期腎不全の透析導入について

バスキュラーアクセスを造設し、透析を導入した患者が入院しています。退院に向けて、食事やバスキュラーアクセス管理など多方面からの指導が必要ですが、毎日の忙しい勤務で指導を進める余裕がありません。どのように行っていくのが良いでしょうか?
透析導入の時期は、バスキュラーアクセス管理、食事や水分管理、日常生活全般
、保険や福祉制度など…、たくさんの情報を患者に提供しないといけないと思いがちですが、焦らないでください。レディネス(学習準備)が整っていなければ患者の頭には入っていきません。患者のレディネスを十分に見極めることが重要です。
指導にあたっては、患者がその時に必要としている情報に絞ることが効果だと思います。当院では9項目別になったパンフレットとチェックリストを用いて指導をしています。例えば、初めて透析を行った日はバスを指導しています。例えば初めて透析を行った日はキュラーアクセスの管理についてのみを指導します。患者の言動、イベントに合わせて指導をすると、患者は理解しやすいのです。また、高齢であったり入院期間が短かったりすると入院中にすべてを指導するのは難しくなりますが、そのような場合は退院後のクリニックや施設へサマリーを用いて引き継いでいきましょう。地域との連携を図ることも大切です。
引用:吉村雅世ほか.看護ケアにナラティブ・アプローチを導入した老年患者の変化と研究 .日本看護科学会誌 .2004,24(4),p.3-12.
参考:腎臓リハビリテーションガイドライン 編集: 日本腎臓リハビリテーション学会 発行

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