専門家Q&A
下剤についての質問です
投稿日:2012.10.11
ご質問
便秘症の患者様に対して、病棟ではラキソベロン、マグラックス、プルゼニドをよく使用します。
ラキソベロンは効果が強いのか、下痢をしてしまう患者様も少なくありません。
でも、マグラックスやプルゼニドでは効果の無い患者様もいます。
下剤はどうやって使い分けたらいいのでしょうか?便秘の重症度にもよるのでしょうか?
また、下剤ではなく、浣腸や坐薬を入れるのはどんな時が一番最善でしょうか?
ラキソベロンは効果が強いのか、下痢をしてしまう患者様も少なくありません。
でも、マグラックスやプルゼニドでは効果の無い患者様もいます。
下剤はどうやって使い分けたらいいのでしょうか?便秘の重症度にもよるのでしょうか?
また、下剤ではなく、浣腸や坐薬を入れるのはどんな時が一番最善でしょうか?
専門家の見解
便秘は様々な病因が考えられるのでしっかりとアセスメントをして対応を考える必要があります。
特に大腸癌や腸閉塞などによる通過障害が隠れていないかを常にチェックしてから下剤の投与を始めて下さい。
通過障害があるときに強力な下剤を投与すると腹痛や大腸穿孔の危険があります。
排ガスの有無の確認や腹部の聴診・打診・触診で問題ないか確認する習慣をつけましょう。
水分摂取を増やしたり、運動や腹部温罨法が効果的なこともあります。
また、経口摂取をほとんど取っていない状態では排便も少なくなりますので
機械的に何日排便がないから下剤をというのは疑問です。
マグラックスなどの塩類下剤は効果がマイルドで投与量を調整しやすく重宝しますが、
高齢者などで腎機能が低下しているときには高マグネシウム血症をきたすことがあるので
血中マグネシウム濃度を定期的にチェックする必要があります。
プルセニドなどのアントラキノン系の刺激性下剤は長期に連用すると弛緩性便秘をきたしたり
腸管粘膜の色素沈着をきたしたりしやすいので、処方を控える傾向にあります。
ラキソベロンも刺激性下剤に分類されます。量が多ければ下痢をしてしまいますが
1回あたりの投与量を調整しやすいので、1回5滴あたりから始めて、
効果がなければ10滴、15滴、20滴と半日~1日毎に増やして適量を探すことも可能です。
直腸指診をして肛門まで便が降りてきていれば浣腸も効果がありますが、
逆に便が堅く、栓をしているような場合は摘便が必要です。
直腸が空虚な状態では浣腸をしても浣腸の液だけが排泄されることも珍しくありません。
高齢者の固い兎の糞のような便に対しては水分摂取と漢方薬が効果的なこともあります。
潤腸湯や麻子仁丸を使います。
下記のサイトも参考にして下さい。
排泄ケアナビ-下剤の種類と効果
http://www.carenavi.jp/jissen/laxatives/problem01.html
便秘のアセスメント
http://www.nakayamashoten.co.jp/bookss/define/pdf/ebn9-3_02.pdf
がん化学療法と症状管理⑤ 下痢・便秘
http://www.bms.co.jp/medical/sizai/OncolNurse-08.pdf
特に大腸癌や腸閉塞などによる通過障害が隠れていないかを常にチェックしてから下剤の投与を始めて下さい。
通過障害があるときに強力な下剤を投与すると腹痛や大腸穿孔の危険があります。
排ガスの有無の確認や腹部の聴診・打診・触診で問題ないか確認する習慣をつけましょう。
水分摂取を増やしたり、運動や腹部温罨法が効果的なこともあります。
また、経口摂取をほとんど取っていない状態では排便も少なくなりますので
機械的に何日排便がないから下剤をというのは疑問です。
マグラックスなどの塩類下剤は効果がマイルドで投与量を調整しやすく重宝しますが、
高齢者などで腎機能が低下しているときには高マグネシウム血症をきたすことがあるので
血中マグネシウム濃度を定期的にチェックする必要があります。
プルセニドなどのアントラキノン系の刺激性下剤は長期に連用すると弛緩性便秘をきたしたり
腸管粘膜の色素沈着をきたしたりしやすいので、処方を控える傾向にあります。
ラキソベロンも刺激性下剤に分類されます。量が多ければ下痢をしてしまいますが
1回あたりの投与量を調整しやすいので、1回5滴あたりから始めて、
効果がなければ10滴、15滴、20滴と半日~1日毎に増やして適量を探すことも可能です。
直腸指診をして肛門まで便が降りてきていれば浣腸も効果がありますが、
逆に便が堅く、栓をしているような場合は摘便が必要です。
直腸が空虚な状態では浣腸をしても浣腸の液だけが排泄されることも珍しくありません。
高齢者の固い兎の糞のような便に対しては水分摂取と漢方薬が効果的なこともあります。
潤腸湯や麻子仁丸を使います。
下記のサイトも参考にして下さい。
排泄ケアナビ-下剤の種類と効果
http://www.carenavi.jp/jissen/laxatives/problem01.html
便秘のアセスメント
http://www.nakayamashoten.co.jp/bookss/define/pdf/ebn9-3_02.pdf
がん化学療法と症状管理⑤ 下痢・便秘
http://www.bms.co.jp/medical/sizai/OncolNurse-08.pdf
専門家の見解
望月先生の回答に補足させてください。
便秘は基質的疾患を除外した上で2種類があります。
1弛緩性便秘:腸の周りの筋肉が緩み、腸の動きが弱くなって、便の押し出しが悪くなった状態(高齢者や女性に多い)。
2痙攣性便秘:自律神経の乱れなどにより、腸管自体の収縮が強くなって便がコロコロとした固い便になった状態。
3に対して、ラキソベロン・プルゼニドなどの刺激性下剤を使うと腹痛を生じ、患者さんにとっては苦痛を伴いますので、注意が必要です。
まずは生活改善と食事による治療を行います。
●規則正しく食べましょう:朝食を含め、一日3食きちんと食べるようにしましょう。
●水分を十分食べましょう:水分を十分に取ると便の量が増え、排便がスムーズになります。
●食物繊維の取り方:食物繊維は水分を吸収して便の量を増やし、排便をスムースにします。また、水溶性の食物繊維は便を軟らかくし、不溶性の食物繊維は腸を刺激し排便を促します。そのために、痙攣性の便秘の場合は、不溶性の食物繊維は刺激になるので控えめにしてください。
※不溶性食物繊維:野菜類、酵母、穀物類、エビ・カニの殻、豆類、熟していない果物、ココア、キノコ
※水溶性食物繊維:熟した果物、食物の種(ナッツ)、葉物、根物、こんにゃく、海藻
●腸を刺激しやすい食品:弛緩性便秘には積極的に、痙攣性便秘には控えめに
食品から発生したガス、食品に含まれる酸、善玉腸内細菌の産生した有機酸などが、腸管を刺激して腸管の動きを活発にします。痙攣性の便秘では刺激を避け、便のかさを増やして排便をスムースにすることが大切です。
※果物、牛乳、乳製品、芋類、豆類、酸味のある食品(酢・梅干し)、香辛料、アルコール、炭酸飲料、油脂類
●適度の運動:ウォーキングがよいのでしょうが、無理な方は仰向けになりおなかをマッサージ、お風呂で温めるのもよいでしょう。
便秘は基質的疾患を除外した上で2種類があります。
1弛緩性便秘:腸の周りの筋肉が緩み、腸の動きが弱くなって、便の押し出しが悪くなった状態(高齢者や女性に多い)。
2痙攣性便秘:自律神経の乱れなどにより、腸管自体の収縮が強くなって便がコロコロとした固い便になった状態。
3に対して、ラキソベロン・プルゼニドなどの刺激性下剤を使うと腹痛を生じ、患者さんにとっては苦痛を伴いますので、注意が必要です。
まずは生活改善と食事による治療を行います。
●規則正しく食べましょう:朝食を含め、一日3食きちんと食べるようにしましょう。
●水分を十分食べましょう:水分を十分に取ると便の量が増え、排便がスムーズになります。
●食物繊維の取り方:食物繊維は水分を吸収して便の量を増やし、排便をスムースにします。また、水溶性の食物繊維は便を軟らかくし、不溶性の食物繊維は腸を刺激し排便を促します。そのために、痙攣性の便秘の場合は、不溶性の食物繊維は刺激になるので控えめにしてください。
※不溶性食物繊維:野菜類、酵母、穀物類、エビ・カニの殻、豆類、熟していない果物、ココア、キノコ
※水溶性食物繊維:熟した果物、食物の種(ナッツ)、葉物、根物、こんにゃく、海藻
●腸を刺激しやすい食品:弛緩性便秘には積極的に、痙攣性便秘には控えめに
食品から発生したガス、食品に含まれる酸、善玉腸内細菌の産生した有機酸などが、腸管を刺激して腸管の動きを活発にします。痙攣性の便秘では刺激を避け、便のかさを増やして排便をスムースにすることが大切です。
※果物、牛乳、乳製品、芋類、豆類、酸味のある食品(酢・梅干し)、香辛料、アルコール、炭酸飲料、油脂類
●適度の運動:ウォーキングがよいのでしょうが、無理な方は仰向けになりおなかをマッサージ、お風呂で温めるのもよいでしょう。
こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
専門家Q&Aを通じて得た知識を職務に活かす場合、患者のの心身の状態が悪化した場合でも、当社は一切責任を負いません。
本サイト内に掲載された情報の正確性および質については万全を期すものの、常に全ての場合に有効とは限らず、また、本サービスの利用の結果、万が一会員が不利益を被ったとしても、当社は当該不利益について一切の責任を負わないものとします。
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